2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「経済学批判」(17)

「第一章 商品」 つづき 商品は、二重の視点から、使用価値として、また交換価値として、そのつど一面的に考察されてきた。けれども商品は、商品としてはまさに使用価値と交換価値との直接の統一である。同時にそれはほかの諸商品にたいする関連のうちでだけ…

「経済学批判」(16)

「第一章 商品」のつづき もし1オンスの金と、1トンの鉄と、1クォーターの小麦と、そして20エレの絹とが、ひとしい大きさの交換価値、つまり等価物であるとすれば、1オンスの金と、2分の1トンの鉄と、3ブッシェルの小麦と、そして5エレの絹とはま…

「経済学批判」(15)

「経済学批判」 本文に入る。 第一章 商品 一見するところブルジョア的富は、ひとつの巨大な商品集積としてあらわれ、個々の商品はこの富の原基的定在としてあらわれる。しかもおのおのの商品は、使用価値と交換価値という二重の視点のもとに自己をあらわし…

「経済学批判」(14)

マルクス「経済学批判」 いよいよ序言である。有名な「経済学批判の序言」。 マルクスはこの序言において、ブルジョア経済体制の考察についての構想、経済学研究にいたった諸事情、を語り、経済学研究にとって導きの糸として役立った一般的結論の公式化、「…

「経済学批判」(13)

「序説」 四 生産。生産手段と生産関係。生産関係と交易関係。生産関係および交易関係に対応する国家形態および意識形態。法的関係。家族関係。 述べようとすることの覚えのためのメモランダム。話はギリシャ神話にまで及ぶ。 ラストは唯物史観による芸術論…

「経済学批判」(12)

「序説」三のラスト ここでマルクスは篇別を示す。 篇別は明らかにつぎのようになされなければならない。(1)一般的抽象的な諸規定、したがって多かれ少なかれすべての社会形態に見られる諸規定。(2)ブルジョア社会の内部の仕組をなし、かつ基本的諸階…

「経済学批判」(11)

「序説」 三のつづき。 いわゆる歴史的発展は、一般に、最後の形態が過去の諸形態を自分自身にいたる段階だとみなすということにもとづいている。しかもこの最後の形態は、まれな、かつまったくかぎられた条件のもとでしか自分自身を批判することができない…

「経済学批判」(10)

「序説」 三 経済学の方法 もしわたくしが人口からはじめるとすれば、それは全体の混沌とした表象なのであり、いっそうたちいって規定することによって、わたくしは分析的にだんだんとより単純な概念にたっするであろう、つまりわたくしは、表象された具体的…

「経済学批判」(9)

「序説」 二のつづき。 交換と流通 流通そのものは、ただ交換のある一定の要因にすぎないか、あるいはまた、総体として考察された交換にすぎない。 交換が、生産と、生産によって規定された分配ならびに消費とのあいだを媒介する要因にすぎないかぎりでは、…

「経済学批判」(8)

「序説」 二のつづき。 分配 では分配は、独立の領域として、生産とならんでその外部にあるのだろうか? 分配の諸関係と諸様式とは、ただ生産諸要素の裏面としてあらわれるにすぎない。賃労働の形態で生産に参加する個人は、労賃の形態で生産の結果である生…

「経済学批判」(7)

「序説」 二 分配、交換、消費に対する生産の一般的関係 消費は直接にまた生産でもある。 生産がなければ消費もない、しかしまた消費がなければ生産もない、というのは、そうなれば、生産には目的がないということになるであろうから。消費は生産を二重に生…

「経済学批判」(6)

「序説」 一のつづき。 所有 すべての生産は、ある一定の社会形態の内部で、またそれを媒介として、個人のがわからなされる自然の占有である。けれどもこのことから、所有の一定の形態、たとえば私有に飛躍するのはこっけいなことである。歴史の示すところに…

「経済学批判」(5)

「序説」の内容に入る。 一 生産、消費、分配、交換(流通) 社会で生産をおこなっている個々人、したがって個々人の社会的に規定されている生産が、いうまでもなく出発点である。スミスやリカアドがそこから説きおこしている個々ばらばらの猟師や漁夫は、1…

「経済学批判」(4)

「経済学批判 序説」 岩波文庫版「批判」には、エンゲルスからマルクスの遺稿を託されたカウツキーが、1902年に発見した「序説」が採録されている。この「序説」を納めたノートの表紙には、1857年8月23日という日付と、「序説」というタイトルが…

「経済学批判」(3)

マルクス「経済学批判」 エンゲルスの書評につづいて、附録二として採録されている「経済学批判の準備ノート」を読む。 1857年のはじめから1858年6月までに「批判」の下書きを含んで7冊のノートが書かれた。ここに採録されたのは、その第二分冊で…

「経済学批判」(2)

岩波文庫版「経済学批判」を読み進めるにあたり、まず附録一、ロンドンで発行されたドイツ語週刊紙「ダス・フォルク」の1859年8月6日および20日号にエンゲルスが寄稿した評を読む。 経済学とは、近代ブルジョア社会の理論的な分析であり、したがって…

「経済学批判」(1)

経済学批判 (岩波文庫 白 125-0)作者: カール・マルクス,武田隆夫,遠藤湘吉,大内力,加藤俊彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1956/05/25メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (12件) を見る 岩波文庫、カール・マルクス著、武田隆…

「経済学批判」(0)その2

「経済学批判」出版に際してマルクスは、エンゲルス、ラサール、ヴァイデマイヤーに、その計画、全体像、第一分冊の位置づけ等について書簡を送っている。 そのなかで最も面白いのは、原稿完成を告げる、1859年1月21日付けのエンゲルス宛ての手紙であ…

「経済学批判」(0)

いよいよ「経済学批判」を読もうと思う。いや、少し逡巡している、というのが正確か。足がすくむのは、この先には「資本論」しかないからだ。 マルクス自身、「資本論」第一版への序言で、「わたくしが読者に第一巻を提供しようとするこの著作は、1859年…

「賃銀・価格および利潤」(25)

「賃銀・価格および利潤」のラスト 賃金制度に含まれている一般的隷属状態をまったく度外視して、労働者階級がこれらの日常闘争の窮極の効果を誇張して考えることがあってはならぬ。彼等の忘れてならぬことは、彼等が[日常闘争において]闘っているのは結果と…

「賃銀・価格および利潤」(24)

十四 (二)労働日の制限についていえば、それは法律的干渉によらないでは決して確定されなかった。外部からの労働者のたえざる圧迫なしには、この干渉は決して行われなかったであろう。だがとにかく、この結果は、労働者と資本家とのあいだの私的な取極めで…

「賃銀・価格および利潤」(23)

十四 資本と労働との闘争とその結果 (一)資本と労働とのこの絶えざる闘争において、どの程度まで後者が成功するだろうか。−−他のすべての商品についてと同じく、労働についてみても、その市場価格は、長期間にはその価値に適応するであろう、したがって、…

「賃銀・価格および利潤」(22)

十三 (五)賃銀値上げのための闘争は、先行の諸変動につづいてのみ生ずるのであって、生産額・労働の価値・貨幣の価値・搾り取られる労働の長さまたは強度・需要供給の動揺に依存し産業循環の種々の段階に照応する市場価格の動揺・の先行の諸変動の必然的結…

「賃銀・価格および利潤」(21)

十三 (四)市場価格の下落の段階、および恐慌と停滞との段階では、労働者は、すっかり失業しないまでも、きっとその賃銀を引下げられるであろう。だまされないためには、彼は、市場価格のかかる下落に際しても、どんな割合で賃銀の下落が必然的となったかに…

「賃銀・価格および利潤」(20)

十三 (三)吾々は今まで、労働日の限界は与えられているものと仮定してきた。だが、労働日それ自身は不変の限界を持っているわけではない。資本の普遍的傾向は、肉体的に可能な最大の長さまで労働日を延長することにある。というわけは、それと同じ程度にお…

「賃銀・価格および利潤」(19)

十三 (二)必需品の価値、したがってまた労働の価値は元のままであるが、貨幣の価値における先行的変動の結果として必需品の貨幣価値に変動が生ずる場合。 より豊饒な鉱山などの発見によって、たとえば2オンスの金を生産するために、以前に1オンスを生産す…

「賃銀・価格および利潤」(18)

十三 賃銀を値上げし、またはその値下げを阻止しようとする企ての主要な場合 さて吾々は、賃銀の値上げを企て、または賃銀の値下げを阻止しようとする主要な場合を慎重に考察しよう。 (一)労働力の価値、または、より通俗な言葉でいえば労働の価値は、生活必…

「賃銀・価格および利潤」(17)

十二 利潤・賃銀および物価の一般的関係 資本家と労働者とは、限られた価値、すなわち、労働者の総労働によって測定される価値を分配する他はないのだから、一方が多く得れば他方は僅かしか得ないし、一方が僅かしか得なければ他方は多く得るであろう。賃銀…

「賃銀・価格および利潤」(16)

十一 剰余価値が分裂する種々の部分 剰余価値、すなわち、商品の総価値のうち労働者の剰余労働または不払労働が実現されている部分を、私は利潤と名づける。この利潤の全部が企業資本家によって収得されるわけではない。地主として、地代の名のもとに、この…

「賃銀・価格および利潤」(15)

十 利潤は商品を価値どおりに売ることによって得られる 一商品の価値は、その商品に含まれている総労働量によって決定される。ところが、その労働量の一部分は、賃銀の形態で対価を支払われた価値に実現されている。またその一部分は、何らの対価も支払われ…