「賃銀・価格および利潤」(16)

 十一 剰余価値が分裂する種々の部分
 剰余価値、すなわち、商品の総価値のうち労働者の剰余労働または不払労働が実現されている部分を、私は利潤と名づける。この利潤の全部が企業資本家によって収得されるわけではない。地主として、地代の名のもとに、この剰余価値の一部分を取得することを得せしめ、金貸資本家をして、利子の名のもとに、かの剰余価値のもう一つの部分を請求することを得せしめるのである。したがって企業資本家そのものに残るのは、いわゆる産業利潤または商業利潤だけである。
 地代、利子、および産業利潤は、商品の剰余価値の、または商品に含まれている不払労働の、種々の部分に対する種々の名称に他ならぬのであり、そしてそれらは、等しくこの源泉から、しかもこの源泉だけから生ずるのである。
 一資本家によって実現された総利潤を利潤額と名づけ、投下された資本との比率を計算する場合には、吾々は、この相対的な大いさを利潤率(秀註=『資本論』では剰余価値率とされるが、ここでは説明の便宜上こう呼ばれる)と名づける。
 利潤率(剰余価値率)は、支払労働と不払労働との現実の比率を、労働の exploitation [搾取]の現実の度合を、しめす唯一のものである。