「賃銀・価格および利潤」(18)

 十三 賃銀を値上げし、またはその値下げを阻止しようとする企ての主要な場合
 さて吾々は、賃銀の値上げを企て、または賃銀の値下げを阻止しようとする主要な場合を慎重に考察しよう。
 (一)労働力の価値、または、より通俗な言葉でいえば労働の価値は、生活必需品の価値、または必需品を生産するに要する労働の分量によって決定される。今、生産性の減少の結果として、たとえば、同一分量の農産物を生産するにより多くの労働が必要とされ、かくして日々の平均的必需品の価格が騰貴したと仮定しよう。労働者は、賃銀の値上げを要求しても、それはただ、彼の労働の増加した価値を得ようと要求するだけであって、そのことは、他の商品の売手が誰でも、自分の商品の生産費が増加した際その増加した価値を支払ってもらおうとするのと同じである。賃銀が騰貴しないか、または、必需品の価値の増加を償うに足るだけ騰貴しないならば、労働の価格は労働の価値以下に下落するであろう。そして労働者の生活水準は低下するであろう。