「賃銀・価格および利潤」(17)

 十二 利潤・賃銀および物価の一般的関係
 資本家と労働者とは、限られた価値、すなわち、労働者の総労働によって測定される価値を分配する他はないのだから、一方が多く得れば他方は僅かしか得ないし、一方が僅かしか得なければ他方は多く得るであろう。賃銀が変動すれば、利潤は反対の方向に変動するであろう。賃銀が下落すれば利潤は増大するであろう。また、賃銀が騰貴すれば利潤は減少するであろう。しかし、これら一切の変動は商品の価値には影響しないであろう。だから、賃銀の一般的騰貴は、一般的利潤率の低落を生ずるであろうが、価値には影響しないであろう。しかし、諸商品の価値−−それは窮極においては諸商品の市場価格を規制するはずである−−は、それらに固定された労働の総量によってのみ決定されるのであって、支払労働と不払労働とへのその分量の配分によって決定されるのではないとはいえ、だからといって、たとえば12時間に生産された1個の商品または数個の商品の価格はいつも不変であろうということには決してならない。一定時間の労働、あるいは一定分量の労働によって生産される諸商品の数または量は、使用される労働の生産力(秀註=生産諸力)に依存するのであって、その労働の延長または長さに依存するのではない。