「経済学批判」(7)

 「序説」
 二 分配、交換、消費に対する生産の一般的関係
 消費は直接にまた生産でもある。
 生産がなければ消費もない、しかしまた消費がなければ生産もない、というのは、そうなれば、生産には目的がないということになるであろうから。消費は生産を二重に生産する。(1)消費においてはじめて生産物は現実的な生産物になる。(2)消費があたらしい生産の欲望を創造し、こうして生産の前提であるところの、生産の精神的な、内部からこれをおしすすめる根拠を創造するからである。
 生産のがわからこれに照応するのはつぎのことである。(1)生産は、消費を創造し、生産する。(2)生産は、消費者を創造する。(3)生産は、主体にたいして対象を生産するだけでなく、対象にたいして主体を生産する。したがって生産は、消費の対象、消費の仕方、消費の衝動を生産する。同じように消費は、[生産の]目的を規定する欲望として生産者にうったえることによって、生産者の計画を生産するのである。
 だが社会では、生産者の生産物にたいする関連は、生産物が完成するとすぐ、外的なものとなるのであって、生産物の主体への復帰は、その主体の他の個々人にたいする関連に左右される。主体は、生産物を直接手に入れるのではない。また主体が社会で生産するばあい、生産物を直接占有することがかれの目的なのでもない。生産者と生産物のあいだには、分配が介在し、それが、社会的諸法則をとおして、生産物の世界における生産者のわけまえを規定するのであり、そうすることによって、生産と消費とのあいだに介入するのである。