2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「経済学批判」(47)

c 鋳貨。価値表章 つづき イギリスやフランスやの、政府による貨幣悪鋳の歴史をみると、価格が銀貨の悪化されたのと同じ比率では騰貴しなかったことが、しばしば見いだされる。これはもっぱら、鋳貨の増加された比率が、それが悪化された比率におよばなかっ…

「経済学批判」(46)

c 鋳貨。価値表章 つづき いままでのべたことからあきらかなように、金の実体そのものからはなれた価値表章としての金の鋳貨定在は、流通過程そのものから発生するのであって、合意や国家干渉から発生するのではない。ロシアは価値表章の自然発生的成立の適…

「経済学批判」(45)

c 鋳貨。価値表章 つづき 金鋳貨が、まず金属の、つぎに紙の代理物をつくりだしたのは、それが金属を減失したにもかかわらず、鋳貨として機能することをやめなかったからにほかならない。それは摩滅したから流通したのではなく、流通しつづけたから摩滅して…

「経済学批判」(44)

c 鋳貨。価値表章 つづき ある金鋳貨が5分の1オンスの重さしかないのに、流通では4分の1オンスとして通用するならば、そのかぎりこの金鋳貨は実際上20分の1オンスの金にたいしては単なる表章または象徴となっているのである、このようにしてすべての…

「経済学批判」(43)

c 鋳貨。価値表章 つづき 金の内部におけるそのうわべだけの定在は、そのほんとうの定在と衝突するようになる。通流のうちで、ある金鋳貨はその金属実質をより多く失っており、他の金鋳貨は少ししか失っていないので、いまやあるソヴリン貨は、事実上ほかの…

「経済学批判」(42)

c 鋳貨。価値表章 つづき 貨幣通流は外界の運動である、しかもソヴリン貨は、non olet《匂いでそれとわからない》とはいえ、雑多な仲間にまじってうろつきまわっている。鋳貨は、あらゆる種類の手や袋やポケットや財布や胴巻や金庫や小箱や大箱でこすられて…

「経済学批判」(41)

c 鋳貨。価値表章 金は、流通手段として機能するさいには、独特な身なりをとり、鋳貨となる。金はその通流を技術上の障碍によってさまたげられないように、計算貨幣の度量標準にしたがって鋳造される。貨幣の計算名であるポンド、シリング等々で表現された…

「経済学批判」(40)

b 貨幣の通流 ラスト 貨幣の流通速度があたえられ、かつ商品の価格総額があたえられていれば、流通する媒介物の量は一定である、という法則は、またこれを、商品の交換価値とそれらの変態の平均速度とがあたえられていれば、流通する金の量はそれ自身の価値…

「経済学批判」(39)

b 貨幣の通流 つづき 流通する商品の総価格が騰貴しても、その騰貴の割合が貨幣通流の速度の増大よりも小さければ、流通手段の総量は減少するであろう。逆に、流通速度が、流通する商品総量の総価格よりも大きな割合で減少すれば、流通手段の総量は増加する…

「経済学批判」(38)

b 貨幣の通流 つづき 貨幣流通の前提は商品流通である、しかも貨幣が流通させるのは、価格をもっている商品、つまり観念のうえではすでに一定の金量と等置されている商品である。商品の価格規定そのものには、度量単位として役だつ金量の価値の大きさ、つま…

「経済学批判」(37)

b 貨幣の通流 つづき すでにみたように、貨幣は空間的に雑然とならんでおこなわれる購買と販売において、あるあたえられた数量の価格を同時に実現し、ただ一度だけ商品と位置を交換する。けれども他方、貨幣の運動に商品の総変態の運動とこれらの変態の連鎖…

「経済学批判」(36)

b 貨幣の通流 つづき 商品所有者たちが、金というひとつのものを、一般的労働時間の直接の定在に、したがって貨幣に転化することによって、かれらの私的労働の生産物を社会的労働の生産物としてあらわしたように、いまやかれらの労働の素材転換を媒介するか…

「経済学批判」(35)

b 貨幣の通流 つづき 商品流通 W―G―W は、その単純な形態においては、貨幣が買手の手から売手の手に、また買手になった売手の手から新しい売手の手にうつるという形でおこなわれる。これをもって商品の変態はおわり、したがって貨幣の運動も、それがこの…

「経済学批判」(34)

b 貨幣の通流 現実の流通は、まず、偶然にあいならんでおこなわれる購買と販売との総量としてあらわれる。購買でも販売でも、商品と貨幣とはいつも同じ関連であいたいしており、売手は商品のがわに、買手は貨幣のがわにいる。だから流通手段としての貨幣は…

「経済学批判」(33)

a 商品の変態 つづき 商品所有者たちは、単純に商品の保護者として流通過程にはいりこんだ。この過程の内部では、かれらは、買手と売手という対立した形態で、すなわち、一方は人格化された棒砂糖として、他方は人格化された金として、あいたいする。そこで…

「経済学批判」(32)

a 商品の変態 つづき 総流通 W―G―W にたちかえるならば、ここでは、一商品がその変態の総系列を通過することが示されている。だがこの商品が流通の前半を開始して第一の変態をとげるあいだに、同時に第二の商品が流通の後半にはいり、その第二の変態をと…

「経済学批判」(31)

a 商品の変態 つづき これまでわれわれは、W―G を販売として、つまり商品の金への転化として考察してきた。しかしもしわれわれがほかの極のがわにたつならば、同じ過程はむしろ G―W として、購買、つまり貨幣の商品への転化としてあらわれる。販売は、…

「経済学批判」(30)

a 商品の変態 つづき W―G すなわち販売、商品Wは、単に特定の使用価値、たとえば1トンの鉄としてだけではなく、一定の価格をもつ使用価値、たとえば3ポンド17シリング10ペンス2分の1、つまり1オンスの金という価格をもった使用価値として流通過…

「経済学批判」(29)

「経済学批判」第二章 貨幣または単純流通 二 流通手段 商品が価格付与の過程において流通できる形態をえ、金が貨幣の性格をえたのちには、流通が、商品の交換過程の内包していた矛盾を表示し、同時にまたそれを解決するであろう。商品の実際の交換、いいか…

「経済学批判」(28)

B 貨幣の度量単位についての諸学説 つづき 労働時間が貨幣の直接の度量単位だという学説は、ジョン・グレイによってはじめて体系的に展開された。かれは、ひとつの国立中央銀行に、その支店をつうじて、さまざまな商品の生産に用いられる労働時間を確認させ…

「経済学批判」(27)

B 貨幣の度量単位についての諸学説 つづき ステュアートは、流通のなかで価格の度量標準としてまた計算貨幣としてあらわれる貨幣の現象に、もっぱら執着している。もしさまざまの商品が、それぞれ15シリング、20シリング、36シリングというように価格…

「経済学批判」(26)

B 貨幣の度量単位についての諸学説 つづき イギリス哲学における神秘的観念論の代表者であるバークレー司教が、貨幣の観念的度量単位説にたいして、実際家たる「大蔵大臣」がないがしろにした理論的表現をあたえたのは当然のことであった。かれは問う。「リ…

「経済学批判」(25)

B 貨幣の度量単位についての諸学説 商品は、価格としては、ただ観念のうえでだけ金に転化され、したがって金はただ観念のうえでだけ貨幣に転化されるという事情は、貨幣の観念的度量単位説がうまれる動機となった。価格規定にさいしては、単に表象された金…

「フラガール」

観る前から嫌な予感がしていたが、見事に的中。「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」と同様、意外な取り合わせのパフォーマンスに必死に取り組むメンバーたち。この2作との違いは、李相日監督「フラガール」には『ズ』が付かないことだけか。 まっ…

「経済学批判」(24)

第二章 貨幣または単純流通 一 価値の尺度 つづき 一商品の価格、あるいはその商品が観念のうえで転化されている金量は、いまや金の度量標準の貨幣名で表現される。そこでイギリスでは、1クォーターの小麦が金1オンスにひとしいというかわりに、3ポンド1…

「経済学批判」(23)

第二章 貨幣または単純流通 一 価値の尺度 つづき 商品は、いまや二重の実在として、すなわち現実的には使用価値として、観念的には交換価値として、たがいに対立しあっている。商品はいまや、そのなかにふくまれている労働の二重形態をたがいに表示しあう。…

「経済学批判」(22)

「経済学批判」 第二章 貨幣または単純流通 貨幣の分析にあたってのおもな困難は、貨幣が商品そのものから発生するということが理解されれば、すぐに克服される。この前提のもとで、なお問題になるのは、貨幣の固有な形態規定性を純粋に把握することだけであ…

「経済学批判」(21)

第一章 商品 A 商品の分析のための史的考察 つづき アダム・スミスとは反対に、デイヴィッド・リカアドは、努力の結果、労働時間による商品価値の規定を純粋にしあげ、しかもこの法則が、それともっとも矛盾するようにみえるブルジョア的生産諸関係をも支配…

「経済学批判」(20)

「経済学批判」第一章 商品 A 商品の分析のための史的考察 のつづき 現実的な有用労働と交換価値を生みだす労働との対立は、どんな特定種類の現実の労働がブルジョア的富の源泉であるか、という形の問題として18世紀中、ヨーロッパをさわがせた。だからそ…

「経済学批判」(19)

「経済学批判」第一章 商品 A 商品の分析のための史的考察 商品を分析して二重の形態の労働に帰すること、つまり使用価値を現実の労働または合目的的な生産的活動に帰し、交換価値を労働時間または同質の社会的労働に帰することは、イギリスではウィリアム…