「浄土三部経」(73)

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 アーナンダよ、世尊・かの敬わるべき人・正しく目ざめた人・無量寿如来がその下でさとりを開いたところの菩提樹がある。マカラ〔魚〕や、スワスティカ(卍)や、渦巻形、および、半月を以てあまねく飾られ、鈴や宝石や、黄金や、あらゆる宝石の装飾で飾られ、生ける者どもの心の願いを知らせるように飾られているのだ。
 かの菩提樹が風に吹き動かされるとき、流れ出る音声は無量の世界に鳴り響く。かの生ける者どもが、かの菩提樹の光に照らされたならば、かれらは、覚りを完成するまでの間、身体の病気を患うことは思いもよらない。かの生ける者どもが、心で思念すべき対象としてかの菩提樹を思念するならば、かれらは、それより後、覚りを完成するまでの間、心の散乱することは思いもよらない。また、これらの生ける者どもは、すべて、ほんのちょっと菩提樹を見ただけでも、<この上ない正しい覚り>から退かない者として住するのだ。