「浄土三部経」(52)

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 かの<幸あるところ>という世界では、午前の時分になったときに、風はあまねく四方に満ち、充ち満ちて吹きわたる。そこでは、きらびやかで、見るも美しく、種々の色、数多の色ある、種々の芳しい天上の香りに匂う宝樹を揺すり、あまねく揺り動かし、ゆすぶり、あまねくゆすぶる。そのために、かの宝石より成る大地の上に、妙なる香りの、美しい幾百の花は散り落ちる。かの仏国土は、これらの花がふり積って、あまねく七尋の厚さまで飾られる。午前の時分が過ぎると、これらの花はことごとく消え失せる。
 午前のように、日中の時と、午後の時と、夕暮れの時と、夜の初めの時分、夜の中頃の時分、夜の終りの時分にもそのようなことが起るのだ。