廣松渉「今こそマルクスを読み返す」(42)

 マルクスの場合、物象化という概念と「神秘化」という概念や、「物神性(呪物性)」という概念とが深い関係にあります。マルクスがフェティッシュ(物神的=呪物的)と言うのは、自然物がまるで”超自然的な性質・性能・能力を具えているかのように現われる”事態、この意味で”神秘的”とみなせる事態、を表わします。そして、事物が自然物でありながら”超自然的性質”をも同時に”具えて”いるように現われ、その意味において、”自然的かつ超自然的な事物”の相にあることを「物神的性格=呪物的性格」とマルクスは呼んでいます。