廣松渉「今こそマルクスを読み返す」(36)

 晩年にかけて、マルクスエンゲルスも、当時ようやく知られるようになってきた史実、とりわけ古代社会に関する知見を踏まえて、人類史像を再構築しようと努力しました。とは申せ、それが十分に果たされるところまでは行きませんでした。(私どもとしては、今世紀(秀註=20世紀)になって蓄積された膨大な人類考古学的、古代史的史料や文化人類学的資料、さらにはまた霊長類学の知見などに基いて、彼らの方法論に則りつつ、人類史像を具体的に対自化してみる課題を負うております)。