廣松渉「今こそマルクスを読み返す」(31)

 マルクス・エンゲルス歴史観が優れてエコロジカルであることは、次の一文によっていよいよ確認できることと思います。
「歴史においては、どの段階にあっても、或る物質的な成果、生産諸力の一総体、歴史的に創造された対自然ならびに諸個人相互間の関係が見出される。これは各世代に先行世代から伝授されるものであるが、……このものはなるほど一面では新しい世代によって変容されるとはいえ、他面では当の世代に対してそれ固有の生活諸条件を指定し、この世代に一定の発展、或る特殊な性格を賦与しもする−−こうして、人間が環境を作るのと同様、環境が人間を作る〔相互媒介的な関係にある〕わけである」(『ド・イデ』)。