廣松渉「今こそマルクスを読み返す」(30)

メソポタミアギリシャ小アジアその他の国々で」耕地を得ようとして森林を開拓した人々は、「今日の荒廃」をもたらすことは夢想だにしなかったし、「アルプス地方のイタリア人たちは、南側の山腹で森林を伐りつくしたとき、それによってアルプス牧牛業を根絶やしにしてしまったことに気がつかなかった。ヨーロッパにジャガイモをひろめた人々は、それと一緒に腺病をひろめているのだとは知らなかった」。「われわれは肉と血と脳髄ごとそっくり自然に属しており、自然に内存在しているのであって、云々」。
資本論』からも引用しておきましょう。
「労働は、……まず第一に、人間と自然とのあいだの一過程であり、この過程で、人間は自分と自然との物質代謝を自分自身の行為によって媒介し、規制し、制御する。……この運動によって、人間は外なる自然に働きかけてそれを変化させ、同時に自分自身の自然を変化させる」。