「選択本願念仏集」(3)

 「選択本願念仏集」 内容に入る。


(1)道綽禅師、聖道・浄土の二門を立てて、しかも聖道を捨てて正しく浄土に帰するの文
 道綽の「安楽集」により、仏教を聖道門(悟りの道)と浄土門(救いの道)に分ち、浄土の宗名を立つる理由を述べる。 
 深遠難解な哲理にもとづいている聖道門は、釈尊の在世から遠くへだたった今の時代では修行に困難がともない、自力では到底悟りを開くことはできない。したがってただ仏を信じ、その力をたのみさえすれば、浄土に往生することのできる易行の浄土門に帰入すべきことを明かす。
 煩悩をたちきり悟りを得ることによって仏になる教え(聖道門)は自力であり難業であって誰にでも学び修行することはできない。ひとまず「閣(さしお)いて」極楽浄土に往生することを目的とする、修し易い浄土門に帰依することを勧める。