柳宗悦「南無阿弥陀仏」(17)

 14.往生


 「選択集」 往生といふは、此を捨て、彼に往き、蓮華に化生するなり。
 浄土に往き、蓮台の上に生れる。


 自力門  成仏  此土成仏  生きながらにしての成仏
 他力門  往生  彼土往生  厭離穢土欣求浄土


 南無と阿弥陀仏との二つが「即」に消え去るのが、名号の当体である。「即」とは不二を意味する。帰依する人と、帰依される仏とが、不二となるその当体に、往生が現成するのである。往生は人が往生するというが、往生は人と仏とが不二なる時の姿なのである。それ故南無阿弥陀仏を離れて往生はなく、往生とはこの六字に即することである。