「DEATH NOTE」

hanadahidejirou2006-06-29

 金子修介監督「DEATH NOTE」 一般に「前篇」と呼ばれている。観ている者に自らの存在を問わせる、優れた映画だ。
 そのページに名前を書かれた者は死ぬ、というデスノートを、死神から手に入れた学生、夜神月(ライト、藤原竜也)が、許されない犯罪を犯してものうのうと生きているヤツらを、つぎつぎに殺していく。この学生はおそろしく頭がいいので、警察にシッポをつかませず、キラ様として有名になっていくが、L/竜崎と名のる得体の知れない人物(松山ケンイチ)、実は元FBIで、これまた驚くほどキレる[若者]がその前に立ちはだかる、というストーリー。この二人のキャラの造型がすばらしい。どちらも本当は好ましい人物かも知れないが、頭が良すぎてクールすぎるので、好きにはなれない。でも、この映画の狙いでは、それでいいのだ。すべてが計算ずくで、先の先まで読めて、それでいいのか? と言われれば、人間の生き方はそんなものではない、と言いたくなるが、そこがこの映画の言いたいことなのだ。この世にもあの世にも神などいないが、そして未来の見える人間もいないが、だからこそ生きることが面白く楽しい、ということではないか?
 原作は読んでいないので、そして映画を見る人間にとっては、原作を読む前に映画を観ることが基本だと思うが、この映画先が読めないのは、神ではない証拠で、それがこの映画を興味深く観れるということだ。
 ライトがFBIのエージェントを抹殺する考えにいたったのは、やはり計算づくの正しいことだったのか、それとも早まったのか、前者だと考えたいが、Lの素姓を知ると、挑戦とも言え、これも面白いところだ。
 ラストの場面、Lがライトの前に現われ、コンソメ味のポテチを食べるシーンはうならせられた。
 この映画によってもたらされたモヤモヤした高揚感の正体は解き明かせないような気がする。深く考えさせられる、良い映画である。


 公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/