柳宗悦「南無阿弥陀仏」(12) その3

 法然上人はいう、仏を念ぜよ、さらば仏は必ず人を念じ給うと。
 親鸞聖人は説く、たとえ人が仏を念ぜずとも、仏が人を念じ給わぬ時はないと。
 だが一遍上人はいう、仏も人もなく、念仏自らの念仏であると。


 帰命 己を棄て去ること 南無
 南無と弥陀との二つは六字に消え、六字となって一つに活きる。六字において帰命する人の往生があり、帰命せられる仏の正覚がある。これを指して「機法一体」という。
 機法一体 機=人、南無 法=仏、阿弥陀仏
 南無阿弥陀仏は不二語である。一語である。