「浄土三部経」(3)

 ここからアーナンダと釈尊の対話が始まる。
 アーナンダは言う。「如来(秀註=釈尊)は、今日、覚った人の境地に住しておられるのだ。勝てる者の境地、全知性の境地に住しておられる。如来は今日大いなる竜の境地に、住されて、過去・未来・現在の如来・敬わるべき人・正しく目ざめた人たちのことを思いつめていられるのだ。」
 釈尊は言う。「その通りだ、アーナンダよ、その通りだ。……如来の智はそこなわれない、如来の知見はさまたげられることのないものだから。……アーナンダよ、正しく目ざめた人たち(諸仏)が世間に出現するということはきわめて得がたいことだ。(他人の)福利を願い、利益を尋ね、なさけの心あり、大悲を実行する如来たちの出現は得がたいことだ。」
 アーナンダにこのような問いかけをさせたこと自体が如来の威力であった。