”Through the Gates of the Silver Key”(51)その2

 突然な波の中断によって、カーターは荒寥感に満ちる冷ややかな恐ろしい沈黙のなかにとりのこされた。いたるところに空虚の広大無辺の広がりが重くのしかかっている。しかし探求者は<存在>がまだそこにいることを知っていた。しばらくすると、カーターは言葉を思い、その精神的な実質を深淵のなかに投げこんだ。「応じます。ひきかえしたりはしません」
 波がまた押し寄せ、カーターは<存在>に聞えたことを知った。たちまち無限に広がるその<精神>から、知識と説明がおびただしく流出して、探求者に新しい展望を開くとともに、探求者が願ったこととてないような、宇宙を理解する力をもつ心構えをさせた。三次元の世界の観念がいかに幼稚で制限されたものであるか、上下、前後、左右という既知の方向以外に、いかに多様な方向があるかを、カーターは教えられた。そして地球の小神たちの矮小さと見かけだおしの空虚さを、その人間じみた卑しい好奇心と情交とともに示された−−地球の小神たちの憎しみ、怒り、愛、虚栄を、まや賛美と生贄を求める欲求を、そして理性と自然に反する信仰を求める要求とを示された。