”Through the Gates of the Silver Key”(47)その2

 するうち、心も砕けるようなこうした思いにふけっているさなか、門の彼方にいるカーターの断片は、恐怖のどん底と思えたものから、さらに底知れぬ暗澹たる恐怖の窖へ投げこまれた。今度の恐怖は主に外的なものだった−−たちまちカーターに対峙し、カーターをとりかこみ、カーターに浸透する個性の力、その局所的な存在に加えて、カーター自身の一部でありながらも、同時にあらゆる時間と共存しあらゆる空間と重なりあうようにも思える個性の力が、恐怖の源だった。目に見えるイメージこそなかったものの、実体が存在するという感じ、そして局所性、自己一体感、無限性とが組合わさった空恐ろしい想念とが、カーターのどの断片とてそれまで存在しうると思ったことのない、目眩く恐怖を生みだしたのである。