”Through the Gates of the Silver Key”(44)その2

 地球の歴史上、知られていたり推測されていたりするあらゆる時代、そして知識や推測や真偽を超越する地球の実体が支配した劫初の時代、そうした時代に属する環境のすべてに、カーターがいた。カーターは、人間であり非人間であり、脊椎動物であり無脊椎動物であり、意識をもつことももたないこともあり、動物であり植物であった。さらに、地球上の生命と共通するものをもたず、他の惑星、他の太陽系、他の銀河、他の時空連続体の只中を法外にも動きまわるカーターたちがいた。世界から世界へ、宇宙から宇宙へと漂う、永遠の生命の胞子がいたが、そのすべてが等しくカーター自身だった。瞥見したもののいくつかは、はじめて夢を見るようになったとき以来、長い歳月を経ても記憶にとどめられている夢−−おぼろな夢、なまなましい夢、一度かぎりの夢、連続して見た夢−−を思いださせた。その一部には、地球上の論理では説明のつけられない、心にとり憑き、魅惑的でありながら、恐ろしいまでの馴染深さがあった。