柳宗悦「南無阿弥陀仏」(7)その2

 阿弥陀 Amitabha … 二つの意味を持つ
  1.無量寿 量(はかる)る無き寿(よわい)  時間的 永劫なるもの
  2.無量光  空間的 無始無終 不生不滅
     尽十方無碍光 十方に行き亙り、遮るものなき光
     一切を照らす光、碍(さわ)りなき光
この二つを合わせて、阿弥陀は慈悲の仏である。


 大悲の弥陀に審判者(基督教の神)の性格はない。
 大悲は憎しみを反面に持たぬ愛である。
 大悲の動くところ、衆生の済度が果たされぬ瞬間はない。それ故もし衆生を浄土に生れしめずば正覚を取らぬといった法蔵比丘の大願と、願成就の瞬間とは同時である。
 『安心決定錠』に曰く
  仏の正覚成りしと吾等が往生の成就せしとは同時なり。
 阿弥陀仏の中に衆生の往生は成就されている。