杜牧「念昔遊 三首 其一」

 杜牧の七言絶句「念昔遊 三首」其の一


   念昔遊 三首 其一
  十載飄然縄検外  十載(じっさい) 飄然たり縄検(じょうけん)の外
  蚘前自献自為酬  蚘前(そんぜん) 自ら献じ 自ら酬(しゅう)を為す
  秋山春雨閑吟処  秋山 春雨 閑吟の処(ところ)
  倚偏江南寺寺楼  倚(よ)り□〔彳へんに扁〕あまねし 江南 寺寺の楼

  
  思えば、あの十年ほどの間、のびのびと勝手気ままに過ごした日々よ。
  酒樽を前にして、一人で差しつ差されつ。
  あるときは秋の山、あるときは春の雨、閑(しず)かに詩を吟じつつ、
  江南の寺々の高楼を、あまねく訪ねつくしたものだった。