「ドイツ・イデオロギー」(1)
- 作者: マルクス,エンゲルス,廣松渉,小林昌人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/10/16
- メディア: 文庫
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この著作は1845年11月から1846年8月にかけて、マルクスとエンゲルス、二人の考察をエンゲルスが記述し、マルクスが注釈や添削を施すかたちで仕上げようとしたもので、完成はしていない。そもそもこの著作のきっかけは、フォイエルバッハ「キリスト教の本質」、バウアー「ポザウネ」、シュティルナー「唯一者とその所有」など、ヘーゲル死後に現れた宗教批判や無神論の著述に対し、これらは宗教的諸観念を批判しているに過ぎないものとして反論を加え、あわせて、歴史を生産諸力と交通諸形態の発展の状況から観察し、疎外からの諸個人の解放を目指す、という考えを公表することにあったのだと思われる。この歴史の捉え方から、「ドイデ」は史的唯物論を完成させた書物として有名になった。
「序文」はマルクスによって書かれ、ドイツ観念論を、「人が水に溺れるのは人が重力の思想にとりつかれているせいだと思い込んでいる」と批判している。そしていろいろな文章を書いたり消したりして、これから批判する哲学者たちを大法螺吹きと呼び信用を失墜させることを宣言している。
マルクス、エンゲルスの二人は、最初から戦闘的である。
廣松渉・小林昌人編訳版は、この書いたり消したりを忠実に再現することから、マルクス・エンゲルスの思考過程をたどろうとする目的も持っていることを特徴としている。